防水工事の基礎

ベランダ防水の勾配に関する基礎知識

  • 2017年1月9日

ベランダに水たまりができてしまう原因の一つに勾配不足があげられます。そして、ベランダの勾配不足は設計段階のミスによることが多いです。

そこで、この時期ではベランダの勾配に関する基礎知識について具体的にお伝えします。

1. ベランダ防水勾配 1/50、どういう意味?

「ベランダ防水勾配、1/50」などの表記がありますが、どういう意味がご存知でしょうか。

ベランダ防水勾配とは、その名の通り、勾配、つまり傾きを示すものです。1/50とは、50メートルの幅で1メートルの高さ、つまり5メートルで10センチの高さの傾きをいいます。

ベランダや屋根には、雨が降るなどすると水が溜まります。

その時、傾きがないと、水が排水口に流れていきません。ドレンに流れていくように水を誘導するためにも、ベランダや屋根は軽く勾配になっているのです。

バルコニーの床は、1/50以上の勾配をつけなければならないと性能保証住宅設計施工基準で定められています。これ以下になってしまうと、勾配が足りなくて雨水が滞留し、防水層の劣化も早まってしまいます。

水を素早く流すためにも、勾配は一定数以上ある必要があります。逆勾配になってしまっている施工もありますので注意が必要です。そうなると雨が降ったときに雨水が室内にむかって集まってきてしまいます。

ただし、床面にあまりに凸凹があると、全体として勾配があったとしても、雨水が溜まりやすくなってしまいますので、勾配をつける際には、床面は平らにしておいた方が無難です。

2. 排水口の勾配は1/100以上あるとよい

排水口の勾配は、1/100以上あると良いでしょう。

雨水が排水口の方向に流れるように勾配を取ります。排水口の勾配が不足していると、雨がうまく流れてくれませんので注意が必要です。排水口付近には、丸い穴があいています。

オーバーフロー管というのですが、これは、雨水が多すぎて排水口から水が流れない場合、キャパシティを超えている場合は、雨水がオーバーフロー管から流れ出るようになっています。

オーバーフロー管は、高さが室内側の防水層の立ち上がりよりも低い位置になっている必要があります。

3. 防水層の施工前に確認すべきこと

ベランダ防水について、シート防水やアスファルト防水、FRP防水、ウレタン防水等いろいろありますが、下地を作って勾配をつけなければならないのはどれも一緒です。

防水層の施工前には、下地の状態も確認しましょう。下地が雨に濡れた状態で防水層を施工してしまうと、防水層が浮いてしまうなどします。漏水の原因になりかねません。壁面の防水層の高さの立ち上がりにも注意が必要です。

壁際には、250ミリメートル以上、防水層が施工されているかをチェックしてください。バルコニーの室内側の壁については、120ミリメートル以上の高さがあるかどうかをチェックします。これがないと、室内に雨が侵入してしまうことがありますので、特別に注意したほうがいいでしょう。

ベランダ防水の場合、バルコニーの床が、下の階の屋根になっていることもあります。その場合は、FRP防水で勾配だけでなく、防火機能も必要になることを覚えておきましょう。建築基準法上の扱いとなります。

4. 勾配は、1/50が必須です!

勾配は、1/50が必要です。

そのため、たとえば2メートルのベランダで排水口が一箇所になる場合は、勾配による高さが4センチ、立ち上げ上必要な高さが12センチ、サッシ下から床まで5センチ、溝の深さで1センチ、で20センチほど必要になります。

ベランダが広くなればなるほど、水勾配による高さが必要になってくるのです。広いベランダを防水する場合には、検討が必要なのです。

5. バリアフリーは無理?

勾配はなくてはならないものですので、バリアフリー化は不可能です。

ここだけ段差が嫌だということはできないのです。ベランダ防水には、雨水を防ぐだけ以外にも、防火、防犯、防蟻、防腐、転落防止などのさまざまな配慮が必要ですので、ベランダ防水を行う際には、それに応じた工事が必要です。

シート防水やアスファルト防水、FRP防水、ウレタン防水等いろいろありますが、防水を行う方法はさまざまで、どれでも住宅にあったものを選ぶといいでしょう。勾配は必ずつけなければなりません。

勾配がないと、水がはけなくなってしまって、ベランダが水浸しになってしまい、下に漏水してしまいます。

6. ベランダ防水の勾配は1/50と覚えよう!

ベランダ防水の勾配は、1/50とおぼえておいてください。排水口は1/100です。

かならず、住宅の室内側が高くなるように勾配を設置し、雨水が溜まらないようにスムーズに排水できるようにしてください。

勾配は1/50あれば十分ですが、それ以上高くなると、ベランダとしての水平性に問題が残ります。

あまり無理なくベランダを使える範囲で、雨水がスムーズに排水できる高さが、1/50の勾配なのです。

また、他にも建築基準法上のさまざまな制約がベランダにはありますので、法律にのっとって、丁寧な施工を心がけてください。違法建築になってしまうと、とても住みづらいものですし、法律に違反した家は売るときにも困難です。

ベランダ防水は勾配を守って、雨水を効率よく排水できるよう、1/50の勾配が必ず必要になります。

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