防水工事の基礎
アスファルト防水の撤去をする際に知っておきたい基礎知識
マンションの屋上のなどに設置されているアスファルト防水ですが、冬に工事をするのが良いのはご存知でしたか?
この記事ではアスファルト防水の撤去について解説します。
1. アスファルト防水の撤去工法とは
アスファルト防水は、撤去工事を行って、いったん新築時の状態に戻して、新規に防水層を形成するやり方があります。これを、撤去工法と呼びます。いまある防水層が、撤去するべきだと考えた場合には、撤去工法を選んでいく必要があるでしょう。
ただし、最近では、撤去工法は時間がかかりますし、その間に雨が降るなどすると、漏水の原因になってしまいますので、撤去工法よりも、かぶせて改修できるかぶせ工法が主流となっています。そのため、なんらかの事情で撤去工法を採用してアスファルト防水を撤去したい場合は、次回の改修時には、かぶせて施工できる改修方法を採用できる仕様を選ぶといいでしょう。
アスファルト防水の撤去は、機械でガリガリと削ったあと、スクレイパーで細かなゴミをとっていきます。残ったアスファルトは、冬のほうがかたまって取りやすいです。夏場は、どうしてもアスファルトがやわらかくなってしまって、撤去するのに大変時間と手間がかかってしまいます。
2. アスファルト防水の撤去の騒音やコスト
では、アスファルト防水の撤去に際して、騒音、工期、コスト面などはどうなっているのでしょうか。まず、既存のアスファルト防水を撤去する際に、音が非常に出ます。騒音と振動が発生してしまいます。また、工期は、撤去工事をしなければならない分だけ、工事の期間が長引きます。コスト面でも、廃材や撤去工事の分だけ、費用を計上しなくてはなりません。
また、廃材搬出などの周囲への気配りも必要です。養生などもしっかり行わないと、防水の撤去前に、漏水する危険性があります。雨などが降るからです。そして、撤去した廃材は、産業廃棄物になりますので、環境にはあまり優しくありません。
ですが、唯一のメリットとして、その次の新規の防水層を、いろいろな工法から選ぶことができるのが、大きなメリットです。いったん防水層をすべて撤去してしまうことになるため、新築時に戻って、また新たな防水層を作り上げることが可能となるのです。
一方の、かぶせ(再生)工法は、防水層の不良部分のみを撤去して、適切な下地を施工し、新しい防水層をかぶせて施工します。既存の防水層を再利用するため、耐久性が高くなります。
かぶせ工法は、騒音・振動が少なく、撤去工法に比べて工期も短いです。また、コストも安価ですみます。環境への安全性も高く、既存の防水性能を利用して、工事中の漏水・雨漏りを防ぐことができます。
産業廃棄物も少なくてすみます。ただし、こちらは撤去工法と逆で、既存の防水材料と新しい防水層の相性を考える必要があります。
3. アスファルト防水の上に塗膜防水は施工できるのか?
たとえば、アスファルト防水の上に、塗膜防水を施工して数年後。アスファルト防水の成分が、塗膜防水の上に黒くなって表面に出てきてしまうケースがあります。また、アスファルト防水の継ぎ目にひび割れが入り、劣化が始まっているケースもあります。それらは、アスファルト防水の露出工法(上におさえる保護層がない)の上に、密着した塗膜防水を行うことで生じます。
塗膜防水が、アスファルトの成分をすいこみ、劣化してしまうのです。通常、アスファルト防水の上に塗膜防水は重ねないほうがいいでしょう。
また、新築時にアスファルト防水を施工し、それを数年後に撤去して、ウレタン防水を施工した場合は、撤去の後にそのままウレタン防水の密着工法で施工したため、アスファルトの成分が残存してしまいます。それがウレタンの防水層に侵食してしまっているケースがあります。アスファルト防水の撤去には、時間も費用もかかります。
施工方法の選択を誤ってしまうと、元の防水のほうが良かったことになってしまうケースもあります。
そのため、もしもアスファルト防水を撤去するのであれば、新しい防水層を施工する前に、撤去したあとの下地の調整が必要です。下地として樹脂モルタル成分を塗布し、綺麗に施工すれば、あたらしい防水層が、以前あったアスファルト防水の影響をうけなくなります。防水の工事を行う際には、下地にあっているかどうかがとても重要なので、撤去は完璧に行う必要があります。
まとめ
アスファルト防水の撤去は、旧防水層をすべて撤去します。そして、新たに下地をつくりなおして、新しく再度の防水施工を行うものといってもいいでしょう。この方法では、新築と同じように下地をつくることができるため、上の防水層の選択が自由に行うことができます。
それが大きなメリットとなります。ただし、コストアップしてしまいますし、撤去時には騒音が発生します。また、廃棄物もうまれますし、工事も長期化してしまいます。そして、撤去中の雨が降ったときのための、雨養生など、デメリットも多いのです。メリット・デメリットをよく比較した上で、施工を決めていただくといいでしょう。
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