防水工事の基礎

シート防水|シート防水工事の工法と施工工程

  • 2017年1月5日

あなたは「シート防水」と聞いてどのような工事をするのかイメージできますか?

陸屋根の防水工事やアパートやマンションの防水工事で一般的なシート防水ですが、実際にどのような工事をするのか分からないという方もいると思います。

そこで、この記事ではシート防水の2つの工法と具体的な施工工程について解説してまいります。

1. シート防水とは

私達の住まいを守るには、屋根やベランダに防水工事が欠かせません。塩ビ樹脂や、加硫ゴムなどを原料とした、ルーフィングシートを貼り付ける工法が、シート防水です。合成高分子ルーフィングシート防水とも呼ばれています。

塩ビシート防水では、接着工法と機械式固定工法(脱気工法)があります。接着工法は、接着剤を使って下地に固定します。機械式固定工法は、ビスで塩ビ鋼板ディスクというものを下地に打ち付けて、シートとディスクを電磁誘導装置で融着させます。

ディスクや断熱材との組み合わせによって、多種多様な用途に対応することができます。

技術的な問題があるため、現在は塩ビシート防水が主流です。耐久性が高く、コストパフォーマンスも高いのですが、防水工法としては難易度が高く、技術的な熟練が必要となります。

より良い業者を選ばなくては、大金を払って失敗工事をしてしまうことになりかねません。しっかりした業者を選ぶことがとても重要です。

2. 密着工法

シート防水密着工法
出典:http://bit.ly/2kFsqPb

密着工法は、下地に接着剤を塗布します。そして、防水シートを貼り付けます。

シートが下地に全面的に接着されますので、耐風圧性にすぐれています。

風などに強く、頑丈ですので、雨漏りなども起こしません。

特殊な接着剤を使えば、下地への片面への塗布だけでよく、工程を省略することができます。ただし、下地の乾燥などに注意が必要となります。

下地が平らでないと、シートがうまく貼り付けられず、施工が難しい場合があります。下地の撤去なども必要ないため、改修工事などに向いています。ある程度強度を持つことから、歩行などの用途にも適しています。また、工期は比較的短い方です。接着剤が剥がれることがあるので、注意が必要です。通気性がないので下地の影響を受けやすいのです。

紫外線、熱、オゾンに対しての優れた耐久性を持っています。鳥害も受けることがありません。工期も短く低コストです。

2-1. 密着工法の施工工程

密着工法の工程は、防水シートを接着剤で下地に貼り付けます。シートを接着剤で貼るだけです。シート同士の密着がある場合は、シートを熱風でとかして、一体化させます。

3. 機械式工程工法(脱気工法)

シート防水機械工法
出典:http://www.act-cp.co.jp/archives/240

脱気工法は、固定ディスクをもちいて、防水シートを屋根下地に固定します。

下地の影響を受けないので、改修工事をする場合にも下地処理が最低限ですみます。そのため、工事期間が短縮できます。脱気工法には、UD工法と、US工法があります。

3-3. UD工法

ディスクを先に固定して、防水シートと融着させます。完成後の意匠に優れています。そのため、色や模様がプリントされたシートなどもあるのです。

3-4. US工法

固定ディスクを後打ちします。耐風圧性があり、高層階や沿岸の建物など、風がよく吹く建物に適しています。

コンクリートに含有される水分の影響が、シート防水層にあらわれ、ふくれ、しわなどになってしまう場合に使用します。脱気筒をつかって大気中に湿気を放出し、ふくれやしわなどを防止します。脱気筒などを使って、水蒸気を外に逃します。

溶着剤や熱風で瞬間的に接合するため、長期間安定した接合面を持つことができます。

3-5.  機械式工程工法(脱気工法)の施工工程

脱気工法の工程は、まず床のマットを脱着します。そして洗浄して、プライマーという塗料を塗布します。シートを敷いて、コーナーを押さえて準備します。ディスクをシートに固着して、塩ビシートを貼り付けます。シートとシートの合間を溶剤で密着し、シート防水が完成します。

4. シート防水の施工費用

密着工法は、100平米あたり4000円~6000円が相場です。平均寿命は15年程度で、保証期間は10年です。また、機械式工程工法(脱気工法)は、100平米あたり5000円~7000円です。平均寿命は20年程度で、保証期間は10年です。

高いような気がしますが、耐久性が高いため、総合的にみるとコストパフォーマンスの高い工法です。

ウレタン防水に比べてメンテナンスは不要です。

太陽光発電設置前の防水工事や、屋上緑化にも耐根性があるため、対応しています。雨漏りにも対応しており、メリットが多いのが特徴です。

ただし、ウレタン防水と比較して工事の難易度が高いため、対応できる業者が少ないのが難点です。

塗装業者やリフォーム業者でも、シート防水を取り扱ったことがなく、シート防水の提案ができない業者が多いです。

大手メーカーによる戸建ては、建物が特殊なため、シート防水の技術者が少なく、ハウスメーカーの経験者となると施工できる防水業者はさらに限られます。安さで選ぶのではなく、経験のある専門業者を選ぶことがなにより重要です。

まとめ

シート防水は、技術的に難しいため、手抜き工事をしてしまう業者も多くあります。そのため、まずはコストよりも信頼できる技術を持った業者かどうか選ぶことが重要です。

防水工事と外壁塗装を混同してしまう方もいらっしゃいますが、防水工事は技術的にも難しい工事である為に、満足な施工ができる業者が限られます。業者に工事を依頼する際は、必ず相見積もりを取り、複数の業者を比較しながら慎重に選ぶことが重要です。

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