防水工事の基礎

アスファルト防水|アスファルト防水の工法と施工工程

  • 2017年1月5日

主にビルやマンション、ショッピングセンターなど大型施設のでアスファルト防水工事による施工がされます。

「アスファルト防水?」と疑問に感じる方もいらっしゃると思いますが、この記事ではアスファルト防水工事の3つの工法と具体的な施工工程について解説します。

1. アスファルト防水とは

アスファルト防水は、古来より使われている信頼性の高い工法です。信頼性の高い防水材料です。液状の溶解アスファルトと、アスファルトシートを組み合わせて、防水性の高くて厚みのある防水層をつくります。なんども重ねて二層以上にして、積層工法が原則です。

水密性(水がもれない)、耐久性も高いので、施工の不具合が出にくいのです。

アスファルトを溶融する際に、においと煙が発生します。

そのため、後述する冷工法やトーチ工法のように、建物を利用しながらの作業環境に適した工法も使われるようになりました。

仕上げでは、防水層の上をコンクリートで保護するコンクリート仕上げと、砂の付いたシートで仕上げる露出仕上げのふたつがあるので、用途に応じて仕上げを使い分ける必要があります。

2. アスファルト防水の熱工法

アスファルト防水熱工法
出典:http://www.mizuno-nara.com/theme553.html

アスファルト防水の熱工法とは、加熱して融解したアスファルトを使って、2枚から4枚のアスファルトルーフィングシート(家の中に水滴を入れないシート)を積み重ねます。

そして防水層をつくる工法です。溶融釜で溶かした防水工事用のアスファルトで、貼り重ねて施工する工法のことをいいます。日本の防水建築では、100年以上の歴史があります。

そのため、ノウハウなどが蓄積されているので、信頼性の高い工法です。多くの主要建築物がこの防水熱工法で施工されているので、安心できるでしょう。

ルーフィングとアスファルトの組み合わせがあるので、密着性の高い防水層ができます。

さらに、2層以上に塗ることによって、強固な防水層をつくることができるのです。

また、短時間で硬化するため、工期が短くなるのも特徴です。

そのため、防水業者が好んで信頼し、よく使う工法でもあります。通常、防水といえばアスファルト熱工法防水を指します。

ですが、熱が220度から270度に及ぶため、やけどや火災の心配が強くなりますし、においも出ます。そのため最近では環境に配慮した他の工法がとられることが多くなってきました。

3. アスファルト防水の常温工法(冷工法)

アスファルト防水常温工法
出典:http://bit.ly/2jKTQ9e

熱を使う熱工法と反対に、熱を使わずに防水層を作るのが、常温工法と呼ばれる冷工法です。

自着工法とも呼ばれます。ルーフィングシートに自着層(剥離紙をはぐことで下地に密着させるもの)を持たせる方法を、常温工法と呼びます。

裏面に粘着材であるゴムアスファルト粘着層をコーティングして、改質アスファルトシートと呼ばれるものを下地に貼り付けます。

それを重ねていく工法となります。下地に軟粘着状態(軽く粘着している状態)になるため、施工したコンクリートにくっついてきます。

常温工法は、屋根の防水層に広く使われています。熱や火気を使いませんので、においや煙が発生せず、熱工法に比べて環境に優しく、作業員も作業しやすいのです。大掛かりな施工器具なども不要です。

そのため、密集した都会の地域や、狭小住宅への適用、改修工事などでよく使われています。熱工法やトーチ工法などとも組み合わせて使われることがあり、さまざまな複合工法も使われています。一層目が常温工法で、二層目以降は熱工法という複合工法などもあり、用途や屋根の種類に応じて選択されます。

4. アスファルト防水のトーチ工法

アスファルト防水トーチ工法
出典:http://paint-house.blog16.jp/index.php/2012/08/20/-172

アスファルト防水のトーチ工法とは、屋上に防水工事を施工する際に、トーチバーナー(火おこしから炙り料理まで幅広く使える使用範囲の広いバーナー)による溶着施工を行う工法です。防水層をつくる材料として、合成繊維の不織布などをつかって、両面にアスファルトをコーティングした2.5ミリから4ミリ程度のシートを使用することになります。

これまで使われていたアスファルト防水工事では、釜でアスファルトを高温溶解させる必要があり、においや危険性などの問題が起こっていました。

ですが、トーチ工法では、アスファルトルーフィング材をトーチバーナーで溶着させるので、熱や煙などが発生しないので安全です。シート同士を結合させる際にも、隙間がない状態で溶着させることができます。そのため、水がもれにくく、優れた防水効果を発揮することができます。

トーチ工法は、アスファルトシート防水工事の標準仕様として採用されています。とくに、環境問題が大きく注目を集めるようになってから、トーチ工法にも注目が集まり、多くの現場で採用されるようになったのです。

まとめ

アスファルト防水は、古くからある防水工事の方法です。

その中でも、伝統のある熱工法や、新しい工法である常温工法やトーチ工法があります。

トーチ工法などが最先端の工法となります。歴史ある工法を選ぶか、最先端の工法を選ぶかは、業者とよく話し合って、決めるようにしてください。技術者の数や腕などにもよりますので、一概にどれがいいとはいえないのですが、各工法の特徴をよく知って、選んでいく必要があるでしょう。

優れた防水工事の施工業者を選ぶのには、複数の防水業者から相見積もりをとって価格の比較はもちろん工法の比較も行うことが大切です。

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